Synthesis of Seminaphtho-phospha-fluorescein Dyes Based on the Consecutive Arylation of Aryldichlorophosphines

掲載論文
A. Fukazawa, J. Usuba, R. A. Adler, and S. Yamaguchi, Chem. Commun., 53, 8565-8568 (2017). DOI: 10.1039/C7CC04323F
  • フルオレセインやローダミンをはじめとするキサンテン色素は,高い水溶性や蛍光の明るさに起因して,蛍光イメージングに最も広く用いられている蛍光色素の一つである.しかし,これらの蛍光は可視光領域にとどまっており,生体組織からの自家蛍光の抑制や,深部イメージングの実現の観点から,近赤外領域に吸収や蛍光をもつ水溶性色素の開発が求められている.これに対して最近,我々を含むいくつかのグループは,フルオレセイン色素の環内の酸素原子をホスフィンオキシドに置き換えることで,水溶性を維持したまま深赤色から近赤外領域での発光が実現できることを明らかにしている.しかしながら,これらの合成は多段階を要する上に煩雑な反応操作を多く含むという問題点が存在することに加え,非対称な構造をもつ誘導体の合成への展開が困難であった.
     このような背景のもと本研究では,リン版キサンテン色素,すなわちホスファキサンテン色素の多様性指向型合成を念頭に,ホスファフルオレセイン色素の簡便な合成法の確立に取り組んだ.アリールジクロロホスフィンへの段階的な求核置換反応を鍵として,非対称型トリアリールホスフィンオキシドを得たのち,分子内 Friedel–Crafts 反応および続く酸化により,ホスファフルオレセイン骨格を従来法よりも短工程かつ簡便に合成することに成功した.この方法は原理的に非対称構造をもつ誘導体の合成にも適用可能であり,実際に片側のみを π 拡張したセミナフト型ホスファフルオレセイン (SNAPF) を合成した.SNAPF は十分な水溶性を維持しているのにもかかわらず,π 共役の拡張に起因してホスファフルオレセイン (POF) よりも長波長側に吸収および蛍光を示し,その波長領域は近赤外領域に至っていた.その蛍光量子収率は,酸素版のセミナフトフルオレセインと比較して顕著に高いことから,近赤外蛍光色素の基本骨格として優れた特性を備えている.また,興味深いことに,非対称な構造修飾は構造や物性にいくつかの特徴的な変化をもたらすことが明らかとなった.例えば,溶液中および結晶中のいずれにおいても片側のベンゼン環のみが顕著なキノイド性をもつことに加え,フェノール性水酸基の酸性度は POF と比較して顕著に低いことがわかった.以上の知見は,キサンテン系色素の構造が物性に及ぼす効果について重要な知見を与えるとともに,多様なホスファキサンテン色素を合成する足がかりになるものといえる.

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