Use of perfluoro carboxylic acids to trick cytochrome P450BM3 into initiating hydroxylation of gaseous alkanes

掲載論文
Norifumi Kawakami, Osami Shoji, Yoshihito Watanabe, Angew. Chem. Int. Ed. 2011, 50, 5315-5318.  DOI: 10.1002/anie.201007975
  • 生物界に広範に存在するシトクロム P450 (P450)は,薬物代謝や解毒,ホルモンの生合成などに関連した不活性な有機基質を水酸化する強力なヘム酵素群で,その有機合成反応への利用が期待されてきた.細菌由来P450の触媒活性は動物や植物由来のP450に比べて非常に高く,薬剤中間体合成の触媒として有望視されてきた.しかしながら,細菌由来のP450は,基質に対する選択性が高く対象とする基質以外に対する酸化活性は極端に低い.P450が高い基質特異性を示す主な理由は,酸化反応を開始する第一段階が,対象とする基質の取り込みをトリガーとして始まることに起因する.対象とする基質と構造が大きく異なる基質は,P450に取り込まれたとしても酵素のスイッチをONの状態にすることができない,もしくは,その効率が著しく低いために酸化活性も低くなる.P450では,「酸化される基質」と「酸化反応のスイッチをONにする物質」(活性化因子)が同一であるために,高い基質特異性を示す設計となっている.そこで,対象とする基質が担うこの二つの役割を分離し,活性化因子としての役割だけの分子をP450に取り込ませて,酸化反応の第一段階をスタートさせれば,本来の対象基質と異なる幅広い基質の酸化反応を行うことができるのではないかと考え,対象とする基質に構造がよく似てはいるけれどもそれ自体は酸化の対象とはならず,P450の活性化のみをスタートさせる疑似基質(「デコイ分子」と名付けた)を反応系に添加するシステムをP450の中でも最大の活性を示すことで知られるP450BM3に適用した.P450BM3は,長鎖脂肪酸の末端を水酸化する酵素で,結晶構造解析から長鎖脂肪酸は,その末端がヘムの上方に配置されるように取り込まれる. P450BM3に対するデコイ分子として,それ自体が酸化されない条件を満たすために,長鎖脂肪酸の末端を含めたすべての水素原子がフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキルカルボン酸を利用することを考えた.また,活性部位に酸化される基質が結合できる空間を確保するために,P450BM3が酸化の対象とする炭素数16のパルミチン酸よりも鎖長が短い一連のパーフルオロアルキルカルボン酸を添加して,ガス状飽和炭化水素の水酸化を検討した.野生型P450BM3は,通常,プロパンやブタンなどのガス状アルカンを水酸化することはできないが,パーフルオロアルキルカルボン酸をデコイ分子として添加すると,野生型P450BM3でも,プロパンやブタンを水酸化できることを明らかとした.また,アルカンの分子サイズに依存して,最大活性を与えるパーフルオロアルキルカルボン酸のアルキル鎖長が変化し,プロパンの水酸化では炭素数10(PFC10),ブタンとシクロヘキサンでは炭素数9(PFC9)のパーフルオロカルボン酸を添加したときに最大の活性を示し,プロパンのような小さなアルカン分子の場合には鎖長の長いデコイ分子,シクロヘキサンのような比較的大きなアルカンの場合には鎖長の短いデコイ分子が効果的に機能することを見出した.反応活性にパーフルオロカルボン酸の鎖長依存性がみられることは,デコイ分子によりP450BM3の反応空間を制御できることを示している.

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