下村 脩 博士 2008年ノーベル化学賞

下村博士ノーベル賞受賞写真   生物学や医学分野の研究で今や欠かせないツールとなったGFP、スウェーデン王立科学アカデミーは、2008年ノーベル化学賞を「緑色蛍光タンパク質 GFPの発見と開発」に対し、下村脩博士(日本)、Martin Chalfie博士(米国)、Roger Y. Tsien博士(米国)に贈りました。下村博士は、オワンクラゲからGFPを最初に単離するとともに、紫外線を当てるとこのタンパク質が緑色に光ることを発見しました。Chalfie博士は、GFPが様々な生物学的研究のツールとして使えることを実証しました。Tsien博士は、GFPの蛍光発光メカニズムの全般的理解に貢献するとともに、緑以外の色に光る関連タンパク質を開発して、いくつかの異なる生物学的過程を同時に観察することを可能にしました。

下村博士は「役に立つとは思っていなかった」と言われましたが、博士の研究の原動力は、ただオワンクラゲという生物の発光の不思議を明らかにしたい、という探究心と純粋な好奇心でした。しかし、下村博士が発見したGFPは細胞内でのタンパク質の動きを観察する技術に応用され、生命科学研究に革命を起こすほどの必須ツールとなりました。

生物の細胞内には何万種類ものタンパク質が存在し、個々のタンパク質の動きを区別して
観察することは難しいことでした。しかし、下村博士の発見から約30年後にGFPの遺伝子が同定され、さらに遺伝子組換え技術を利用してGFPを別の調べたいタンパク質に「印」としてつけることが可能になりました。こうした「融合タンパク質」を動物や植物の細胞内でつくらせると、GFPの緑色蛍光が目印となって細胞を壊すことなくタンパク質の動きを追跡できるという仕組みです。がん細胞が広がる過程やアルツハイマー病で神経細胞がどのように壊れていくのかなどの医学上の重要な解明につながっています。

 

参考

下村 脩 博士の詳しい経歴は、化学科の偉人のページでご覧になれます。