名大化学科:平成元年~現在

平成の始まり20世紀の終焉。そしてノーベル化学賞へ

 平成にはいり、大学・大学院の組織改革や教育改革、研究および教育の自己評価・外部評価制度の導入など大学をとりまく環境が大きく変わり始めました。また、化学教室にとってもほぼすべての研究室の世代交代が行われ、激動の期間であった。次にその流れを示し、いくつかについては個別に詳しく記すことにします。

 1989年3月、田中元治と鈴木旺が定年退官しました。田中の後任には助教授舟橋重信が1990年4月に昇任ししました。鈴木の後任には群馬大学助教授であった遠藤斗志也が講座担当助教授として1989年12月に着任し、1991年5月に教授に昇任した。1991年2月、病気療養中だった中村大雄が現職で逝去した。同年4月、広島大学助教授であった関一彦が固体・薄膜物性研究室教授として着任した。
 1993年3月、田仲二朗、池田勝一および藤田純之佑が定年退官しました。池田の後任には三重大学助教授であった篠原久典が同年4月に着任しました。田仲の後任には分子科学研究所助教授であった大峯巌が、藤田の後任には大阪大学助教授の巽和行がそれぞれ1994年4月に着任しました。
 1993年度から、大学教育システムが旧来の教養部制度を廃止して、四年一貫教育制度に変わりました。
 1995年4月、大学院重点化が行われ、従来の理学部教員組織は理学研究科に移行、新部局として発足しました。その際、新しい物質と機能の創造という見地から、化学科の全研究室と物理学科の物性物理学、生物物理学の研究室が一体となって物質理学専攻が作られました。化学系研究室の教員は大学院理学研究科に所属し、物質理学専攻化学系の研究教育を担当するとともに、理学部化学科の教育にも責任をもちます。化学教室は理学研究科物質理学専攻化学系の四大講座(無機・分析化学講座、有機・生物化学講座、物質物理化学講座、相関化学講座)に改組になりました。新設の相関化学講座教授には無機化学第二研究室助教授の古川路明が昇任し、1997年3月に定年退官しました。1995年4月、野依良治教授をリーダーとする中核的研究拠点(COE)形成プログラムがスタートし、2002年3月まで継続しました。その間、COEプログラムでの卓越した成果が認められ、1998年には物質科学国際研究センターが創設されました.

野依教授ノーベル賞受賞写真 2000年物質理学専攻が第 1 回の教育研究拠点形成支援経費(教育 COE)に採択され、大学院生の顕著な研究成果に対する顕彰制度の発足や図書の整備などが成されました。一方で、2000年3月、山内惰が定年退官し、後任に岡崎国立共同研究機構統合バイオサイエンスセンター・分子科学研究所教授の渡辺芳人が2001年4月より併任教授となり、翌年4月より専任となりました。2001年4月、相関化学講座分子機能化学研究室教授に東京大学助教授であった阿波賀邦夫が着任しました。そして、同12月名古屋大学理学部化学科、いや名古屋大学にとって初めて、そして日本では京大の福井謙一に続く2人目のノーベル化学賞を野依良治教授が受賞しました。




躍動する化学科ー日本を代表する化学科へー

 野依教授のノーベル賞受賞により化学が話題の中心となった2001年中心となった化学科ではそれ以降、第三の進化が始まることとなります。2002年、21 世紀 COE 形成プログラムに採択され,博士(後期)課程に在学する大学院生への様々な支援体制が整備されました.2007年度からは、グローバル COE プログラム「分子性機能物質科学の国 際教育研究拠点形成」に精力的に取り組んでいます。このように化学系研究室では、研究・教育両側面での整備を着実に進め、国内外を通してトップクラスの研究・教育環境を実現しています。
 2002年以後の名古屋大学化学科の流れを個別に説明します。2003年ノーベル化学賞を記念した野依物質科学記念館が新設されました。京都大学から山口茂弘助教授が着任、後に野依教授の後任として教授に昇進し、野依教授は名古屋大学特別教授となりました。その後舟橋重信教授の退官、2007年に分析化学研究室教授に東京大学助教授であった田中健太郎が着任しました。2007年に上村大輔教授の退官、2008年大嶺巌教授の退官、2008年に大変惜しまれながら関一彦教授が急逝されました。2008年には伊丹健一郎教授(有機化学研究室)、2010年には菱川明栄教授(光物理化学研究室)、2011年には化学科初の外国人教授であるイレ・ステファン教授(量子化学グループ)が着任しました。そして2007年には21世紀COE形成プログラムの継続プログラムであるGCOEプログラムに採択され、国際的な化学研究・教育を実現することとなります。

下村教授ノーベル賞受賞講演写真

ノーベル賞授賞式にて、ノーベルレクチャーを行う下村脩博士


 2008年本化学科で博士を取得した下村脩博士がノーベル化学賞を受賞され、化学科では2人目のノーベル化学賞受賞者となりました。
 研究する舞台も大きく変化していきます。2008年からはじまった耐震工事により化学科はそれぞれ退避スペースでの研究を余儀なくされましたが、2011年新しく理学部化学科、農学部の一部による理農館が新設され、化学科が一同に集まることのできる最新設備での研究・教育活動が可能となりました。以上のように21世紀以後、名古屋大学化学科は一変しました。ここからはじまる第三世代の化学科として日本を、世界を代表する化学科を目指しています。

理農館写真

2011年9月に完成した、理農館。


 中核的拠点形成(Center of Excellence=COE)プログラム:これは、文部省(現文部科 学省)が最先端の学術研究を支援するため、その拠点にふさわしい研究組織を選定したもので、理系・文系全分野からの 194件の応募から 6件(化学分野では全国で1件)のみが採択 されるという非常に厳しい競争を勝ち抜いた末のものです。

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